観術総合研究所 - 代表・内海昭徳(うつみあきのり)-

ひとり一人の尊厳性と可能性が花開く、尊厳社会へ

金木犀に憩う

今日のFacebookで金木犀のことを書いた時、

そういえば昔、金木犀の詩を書いたっけということを

思い出ださせて頂きまして、せっかくなので四年前に書いた

『新世界への航路』に載せたものを転載することにしました。

31歳のときに初めて書いた本。自分ごとながらいろいろ懐かしいです。

 

「金色に香る花」

 

金木犀(キンモクセイ)香る初秋。

春の桜に似て、金木犀の咲くときも、また短い。

秋の澄みきった青い空と穏やかな陽気に誘われて、そぞろ歩きをしてみる。

体全体がふわりと包みこまれるような甘い香氣に、ふと氣をとられる。

 

かぐわしさ漂うその先には、まるで金色の粉雪が緑の葉を飾るかのように、

美しく可憐な花を結んでいる。

柔らかで艶やかなそのさまは、生命そのものへの郷愁と恋慕をさえ感じさせる。

 

長い長い四季の巡りの中で、ほんのひととき生命を輝かせ、

初秋の風に、悦びとともに身をゆだねる、金木犀の花。

その香氣は風とひとつになり、そして、高く天へと溶けて行く。

 

花は花として咲くべき時を知り、

咲くべき時に咲き、散るべき時に散る。

 

天地のことわりを悟り、ただ己の本分を果たす。

巡り来る季節の中で、ひっそりと、静かに銀河の音を聞き、

繊細に、繊細に、天空を流れる風を感じながら、

宇宙の全ての愛を、その柔らかな芳香に託して。

 

ただ、咲くべき時に咲き、散るべき時に散る。

 

人もまた、

人として生きるべき生を生き、

終えるべき生を終えられるのだろうか。

 

永遠に巡り来る時の螺旋を往き来しながら、

宇宙のすべての愛を、

何に託して生命の輝きとするのだろうか。

 

金色に香る花のように、

生命の輝きを、高く天へと届けることができるのだろうか。

 

すべての花がそうであるように、

すべての人もまた、咲くべき生命を咲かせられるのだろうか。

天地のことわりとともにある、金木犀の花。金色に香る花。

限りないひとつの愛を受け、限りある生命を咲かせる花。

 

そこにある、奇跡。

そこにある、神秘。

そこにある、感謝。

そこにある、感動。

 

「すべての人が、そうあれますように。」

 

懇切にそう願ったあなたの心を抱きながら。

秋の月の下、金色の香りに抱かれながら。

 

そのような生を、生きられますように。

そのような生を、終えられますように。


新世界への航路 - NR JAPAN株式会社

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