観術総合研究所 - 代表・内海昭徳(うつみあきのり)-

ひとり一人の尊厳性と可能性が花開く、尊厳社会へ

2014年福岡市長選挙の争点にすべきこと

11月2日告示の福岡市長選挙まで、十日あまりとなりました。

 

今回の選挙は、争点がはっきりしないということが言われています。

これについては色々な考え方があると思いますが、

私は今回の福岡市長選で問われるべきひとつの重要な争点は、

未来を見据えた明確な「都市ビジョン」をどのように打ち出すのか、

という点がとても重要ではないかと思います。

 

というのは、福岡市の市政を考える上で、

実は福岡市が置かれている日本全体の状況、

そして日本が置かれている世界全体の状況までも

視野を広げ、その上で福岡市の市政に取り組まないと、

福岡の中だけを見ていては、変化の激しい情報化社会、

そして過酷なグローバリズムの波の中で、

的確な市政運営に当たるのは難しいだろうと思うからです。

 

次の市長選挙が行われる2018年までの四年間に直面する

時代的課題だけを考えても、

アメリカの国力の衰退、中国の経済的•軍事的台頭、

世界全体の多極化傾向、グローバル資本主義の格差拡大の問題、

中国•韓国との外交問題、TPPをめぐる市場原理主義への対応、

アベノミクスの効果の限界、消費税増税路線が景気に与える影響、

集団的自衛権憲法改正議論がもたらす外交的緊張関係、

 

などなど、マクロな問題だけをざっくりと並べるだけでも、

懸案が山積みです。

 

もちろん直接的にこういった課題に当たるのは国政の役割ですが、

福岡市が日本の一部である以上は絶対に直接的影響を受けますし、

原発の問題や少子高齢化、雇用創出の問題なども、

ただ国政に依存、委任するのではなく、都市が主体性を発揮して

考えて行かなければいかない課題も列挙すれば沢山あります。

 

福岡市の首長はもちろん行政機構のトップですが、

同時に、総理大臣のように議院内閣制による間接選挙のリーダーではなく、

150万市民の有権者による直接選挙によって選ばれる、

市民の本当の代表の「政治家」であるという基本的大前提があります。

 

であるならば選挙戦においては、単に行政人として

個別の課題解決に当たるだけではなく、

自分自身の哲学、理念、未来ビジョンにもとづいた政策を

しっかりと打ち出し、それに対して市民の評価を受けるべきでしょう。

 

そして、そういったことは、世界と日本の大きな動向を踏まえた

ものでない限り、どうしても部分的見地にとどまってしまい、

結局のところ、大きな時代の流れも読めず、

変化の荒波に受動的に翻弄され、

国政の後追いのような形しかとれなくなってしまいます。

 

今まではそれでもよかったのかもしれませんが、

国家という単位が時代の変化や市民のニーズに

迅速に対応するには大きくなりすぎた背景や、

地方自治体が主体性と自発性を発揮するべき必要性から考えても、

国政の後追いをする水準の市政とリーダーシップでは、

とうてい成長著しいアジアのリーダー都市になどなれません。

 

深い人間洞察から、人の心に丁寧に寄り添って市政にあたるミクロの観点と、

世界の動向や時代の流れを洞察した先見性からくる未来ビジョンを

政策に落とし込むマクロの観点の、両方が必要だと思います。

 

そういった理由から、特にこの2014年の選挙においては、

どのような「都市ビジョン」を描いている候補者なのか、

という点は、今頃になってただ単に個別的政策の中から

争点を探し出すよりも、よほど重要なことだと思うのです。

 

逆に言えば、福岡市の行政における課題というものは

山積しているにも関わらず、そのどれもが明確な争点と

されづらいという現状は、個別的政策を争点にする選挙では、

もはや今の福岡市が未来に求める本質的ニーズに叶っていないという

見方もできると思います。

 

最終的には今まで通り、現職やメディアが「これが争点だよ」と

決めてしまうのかもしれませんが、

デモクラシーの原理原則に立ち戻って、

少なくともそれぞれの候補者が、自分が信ずる

政策と争点はもうそろそろ明確に打ち出すべきだと思います。

 

福岡市の未来のために、これからの期間が

各候補者の意志と相互の尊厳にもとづいた、

実りある議論の場になっていくことを心から願っています。