観術総合研究所 - 代表・内海昭徳(うつみあきのり)-

ひとり一人の尊厳性と可能性が花開く、尊厳社会へ

衆議院選挙の議席数の予測より、語られるべきはアジェンダ•セッティング

衆議院選挙の報道が増えてきました。

 

今回の選挙のネーミングや候補者をめぐる報道、争点は何かという報道、気の早い票読み予測等、師走にかけてしばらく日本社会は衆議院選挙の話題でもちきりになりそうです。

 

議席数のことを確認しておくと、今回の衆議院解散総選挙後の議席数は475議席になります。

うち、小選挙区で295議席比例区で180議席になります。

 

現状の議席数(480議席)はというと、

与党 326議席

うち自民党 295議席

うち公明党 31議席

 

野党 154議席

その中で、10議席以上持っている政党は

民主党 57議席

維新の党 42議席

次世代の党 19議席

 

という状況ですね。

 

ちなみに参議院は、総議席242議席のうち、与党で135 議席(自民115、公明20)ということで、衆議院参議院とも自民•公明の連立与党が安定的な過半数をしめています。

 

解散総選挙をするからには、当然ながら過半数を絶対維持できなければいけません。

今日の報道では、自民•公明で475議席の過半数なら238議席ですが、現実的な安定多数の目標で249議席を目指す方向で一致、ということのようです。

さらに絶対安定多数の266議席を越える目標設定ならば270議席前後のライン、という報道もされていますが、いずれにしろ現状の与党議席の326議席をだいぶ割り込んだ数値で、自民党としても今回の選挙が厳しい戦いになるのは重々承知ということですね。

 

アベノミクスの2年間の頑張りも、残念ながら景気後退局面に入ってしまったと認識された以上は、ある程度の議席減という犠牲はやむなしという判断です。

 

野党も準備不足でまとまりがないとはいえ、若干伸びるところがあるか、あるいは自民もイマイチだけど野党もイマイチだから投票する先がなく棄権票が増える、ということになっていくのでしょうか。

 

それでもこの次期に安倍政権が選挙を仕掛けるのは、「消費税増税の信を問う」という建前もさることながら、今回の衆議院選挙を終えれば、次回まで4年の間が取れるから。

支持率が急落していく前のタイミングで、今のうちに、次の4年間につながる政権土台を一度安定させておきたいという思惑でしょう。

もっとも、2年後の2016年7月25日には参議院の半数の改選選挙がありますので、安倍政権に対する国民の審判は、その次期にも控えています。

 

政権運営という観点から見れば、今回安倍政権は、勝てる選挙を仕掛けています。

私は、与党が選挙後も過半数とるのは間違いないと思っているので、議席の増減よりは、どんなアジェンダ•セッティングがなされるのかの方に関心があります。

 

今回は「消費税増税の信を問う」というのがまず名目上掲げられましたが、これ自体は選挙の争点になりません。

なぜなら、景気後退の局面に入って、実質賃金は下がり、生活が苦しくなる国民生活の中で、予定通り来年の10月に増税すべきだなどと主張する政党がどこにもないからです。

 

そうなると、アベノミクスという経済政策そのものと、安倍政権の2年間の政策をめぐっての評価が選挙の選択基準になりますが、これはなかなかアジェンダが絞り込みにくいところです。

 

実際、残念なことにアベノミクスは失敗です。これはもう間違いがありません。

後に残ったのは将来世代の巨額の負担や相変わらずの利益誘導•天下りの構造、そして何よりも、悪性のガンが身体を蝕むように日本社会に広がって行く、後戻りの出来ない強烈な格差構造です。

 

これは、たんに安倍政権が好き嫌いという感情論や、政争のための批判材料にとどめてよいレベルの話ではありません。

 

日本と日本人の未来を左右する重要な分岐点に来ているという認識の下、日本というひとつの運命共同体の構成員として、希望につながる「方向性」について真剣に議論されるべきでしょう。

 

アベノミクスは、いわばもうこれ以上は先のない、日本経済の最後の大バクチのようなものだったと思います。

自民党政権の中から、これ以上強い経済政策のリーダーシップも代案も、もう生まれてこないでしょう。

 

逆に野党勢力は、健全な野党の役割として、今回の選挙で、ただアベノミクスの失敗をなじるだけではなく、出しうる限りの代案を出す必要があります。

 

アベノミクス原発、TPP、秘密保護法や集団的自衛権憲法改正、地球儀を俯瞰する外交、積極的平和主義の是非等々、トータルビューを持って、「今まで」と「今から」の日本の方向性が活発に議論されることを願います。

 

各党がただ目先の政策課題の議論をぶつけあう、三流のコメント政治の選挙になってしまったら、日本の未来は本当に危機に瀕すると思います。

 

どんな政策ブランドを持って日本の「方向性」が語られるのか、野党の政策や主張にも耳を傾けながら、12月14日の投開票日まで、少しずつ思うところをまとめて行きたいと思います。