観術総合研究所 - 代表・内海昭徳(うつみあきのり)-

ひとり一人の尊厳性と可能性が花開く、尊厳社会へ

観術から観た、「風に立つライオン」と「Amazing Grace」のメッセージ性

昨日に引き続き。

 

さだまさしさんが作詞•作曲された「風に立つライオン」では、曲の中盤から「Amazing Grace」の旋律が美しく融合されていきます。

f:id:ikr0817:20150708040017j:plain

Amazing Grace」(大いなる神の恩寵)は、もともと黒人奴隷貿易で富を得ていたジョン•ニュートンが黒人奴隷の輸送中に嵐に会い、神に祈ってその難を逃れ九死に一生を得たことがきっかけとなっていると言われています。

 

ジョン•ニュートンが、自分が黒人奴隷貿易に手を染めていたことに対する悔恨と、そんな自分の罪を赦し命をつないでくれた神の恩寵への感謝の心から誕生したということです。

 

海難を生き延び、死の危機を突破し、その時を自分の「第二の誕生」と定めたジョン•ニュートンは、後に牧師となり、「Amazing Grace」を作詞したといいます。

 

Amazing Grace」のNaver まとめの訳詞がすてきだったので、ご紹介。

Amazing grace how sweet the sound
That saved a wretch like me.
I once was lost but now am found,
Was blind but now I see.

アメージング・グレース
何と美しい響きであろうか
私のような者までも救ってくださる
道を踏み外しさまよっていた私を
神は救い上げてくださり
今まで見えなかった神の恵みを
今は見出すことができる

'Twas grace that taught my heart to fear,
And grace my fears relieved,
How precious did that grace appear,
The hour I first believed.

神の恵みこそが 私の恐れる心を諭し
その恐れから心を解き放ち給う
信じる事を始めたその時の
神の恵みのなんと尊いことか

Through many dangers, toils and snares
I have already come.
'Tis grace hath brought me safe thus far,
And grace will lead me home.

これまで数多くの危機や苦しみ、誘惑があったが
私を救い導きたもうたのは
他でもない神の恵みであった

The Lord has promised good to me,
His Word my hope secures;
He will my shield and portion be
As long as life endures.

主は私に約束された
主の御言葉は私の望みとなり
主は私の盾となり 私の一部となった
命の続く限り

Yes,when this heart and flesh shall fail,
And mortal life shall cease,
I shall possess within the vail,
A life of joy and peace.

そうだ この心と体が朽ち果て
そして限りある命が止むとき
私はベールに包まれ
喜びと安らぎの時を手に入れるのだ

The earth shall soon dissolve like snow,
The sun forbear to shine;
But God, Who called me here below,
Will be forever mine.

やがて大地が雪のように解け
太陽が輝くのをやめても
私を召された主は
永遠に私のものだ

When we've been there ten thousand years,
Bright shining as the sun,
We've no less days to sing God's praise
Than when we'd first begun.

何万年経とうとも
太陽のように光り輝き
最初に歌い始めたとき以上に
神の恵みを歌い讃え続けることだろう

 

そして、このジョン•ニュートンの曲に支えられ、黒人奴隷解放に立ち上がった18世紀のイギリスの政治家•ウィリアム•ウィルバーフォースを描いた映画もあります。


映画『アメイジング・グレイス』予告編 - YouTube

 

日本では結婚式で歌われるのが多く、曲の歴史的経緯まではあまり意識されてないと思いますが、「黒人奴隷の解放」という、非常に重く深いテーマが背景にあります。

 

肌の色による人種差別が当然だった当時、黒人は「人間」ではありませんでした。

 

「人間」ではなく、「家畜」と同様の存在として売り買いされ、輸送され、使役されていました。

 

それが時代的な常識だった歴史が、厳然として存在します。そして、21世紀の今でもその影響は根深く残っています。

 

「風に立つライオン」の舞台はアフリカ。

その地の歴史の中で生き、命のバトンをつないできた黒人たちの涙と、毀損され続けてきた黒人たちの尊厳の涙が、曲の背景にあるのだと思います。

 

アフリカはじめ有色人種は、「近代」を開いた白色人種の侵略、支配、収奪、搾取を受けたことは、客観的な歴史の事実です。

 

日本は明治維新の際にすんでのところでその危機をくぐり抜けましたが、もしも日本の国力や民度が低かったら、間違いなく当時の白人植民地帝国主義の荒波に飲み込まれていたでしょう。

 

日本は有色人種の中で、どんな苦境にも決して心の折れることのない意志を立て、まさしく「風に立つライオン」として、有色人種の中でいち早く、そして当時としては唯一の近代化を果たしました。

 

その後の歴史の中での日本の歩みの評価はさまざまありますが、日露戦争以降、それまでの数百年間の白色人種主導の文明に大きな転換が起こったことは間違いないと思います。

 

20世紀初頭、日本は国際的にも世界で初めて人種差別撤廃を訴えましたが、欧米中心の世界秩序の中ではその声は現実化されることはありませんでした。

 

21世紀の今、世界全体はかつての人種差別の時代よりもはるかに人道的な世にはなりましたが、グローバル権力による支配構造は深く細かく行き渡り、真実に人間の尊厳や各人種、民族、国家の尊厳が満たされる世界にはほど遠い状況です。

 

西洋の市民革命は特権階級からの封建的支配を脱し、近代的個人を開きました。

 

また、20世紀の歴史を通して、黒人奴隷の解放や権利の確立は進んでいきました。

 

次の時代、もう一歩進めるべき解放運動は、人間が未だ越えられていない支配の根本の原因、人間共通の根本問題である脳機能の問題、脳の支配、観点の支配からの解放です。

 

シンボル的に観ても、すでに1999年、映画「マトリックス」によって、その変革の方向性は示唆されています。

 

21世紀の人類は、脳が生み出す仮想現実の現象世界から、自由になる必要があります。

 

そして、錯覚のマトリックスの外に出た「真実」の世界を新たな基準点として、人間の尊厳性、人類社会のあり方を再構築していく必要があります。

 

人間は、「第二の誕生」を通して自らが真実に生きるべき生き方に目を開いた時、エゴのためではなく、尊厳の意思に向けた新しい「生き方」に向かうことができます。

 

そうして歴史を築いてきてくれた多くの先人たちの意志と涙が見えない振動としてありながら、「風に立つライオン」の映画が広まっていったら素敵だなと思います。

 

だいぶ話しが膨らみましたが、そんなイメージでこの二つの名曲を味わってみるのもいいのではないでしょうか。

 

今日も最後まで読んでいただいて、ありがとうございました!

《お知らせ》2015年からワクワク観術セミナーのリニューアルバージョンを担当します! - 観術総合研究所 - 代表・内海昭徳(うつみあきのり)-