観術総合研究所 - 代表・内海昭徳(うつみあきのり)-

ひとり一人の尊厳性と可能性が花開く、尊厳社会へ

サンフランシスコ禅センター訪問 〜スティーブ•ジョブズとアメリカの“Zen”に影響を残した二人の日本の先人を想う〜

毎日過ごしやすい、サンフランシスコの気候。

しかし雨が降らないせいか、サンフランシスコは慢性的な水不足らしいです。

なにごとも一長一短ですね。

 

今日はオフィスのそばのセント•メアリーズスクエアでサンドイッチを食べて、夕方からサンフランシスコ禅センターでのdharma(ダルマ)を聞きにいってみました。

 

セント•メアリーズスクエアはほどよい大きさの公園で、そばにはセント•メアリーズチャーチがあり、南北にはチャイナタウンが広がります。

左手奥にちょっと写ってるのがセント•メアリーズチャーチ。

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さてサンフランシスコ禅センターは、ダウンタウンから少し西に離れたところにある、落ち着いたたたずまいの建物でした。

バスで行けば、ほどなくして着いて歩けるくらいの距離です。

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日本の知人に教えて頂いたこのサンフランシスコ禅センターの存在、今回ぜひとも足を運んでみようと思っていたところ。

曜日によって禅のメディテーションの日、会話やお茶を楽しむ日、ダルマを話される日などがあり、今日はダルマの日でした。

 

少し見づらいですが入り口にはいろんな案内があり、禅を学ぶ場所らしく、誰でも気軽に中に入れます。

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英語での表現の勉強もかねて、45分ほどアメリカの禅僧の方が話すダルマを聞いてきました。禅の姿勢と心のあり方、のような話。

どれくらい正確にヒアリングして理解できたのかは怪しいですが…。

 

さてこのサンフランシスコ禅センター、創立されたのは鈴木俊隆という方。

日本でも鈴木氏の本は翻訳されているので、知る人ぞ知る、といったところでしょうか。

鈴木俊隆 - Wikipedia

 

Wikipediaによれば、1959年に55歳で渡米、1962年にサンフランシスコ禅センターを設立し、1967年には長期修行道場として、カルメル渓谷近くの山中のカリフォルニア州タサハラ温泉タサハラ禅マウンテンセンタ(禅心寺)を設立した、とあります。

 

アメリカ仏教界へ与えた影響は大きく、1998年5月にはスタンフォード大学で、「鈴木俊隆学会」が開催された、とも。

 

恥ずかしながら寡聞にして、鈴木俊隆氏のことはこちらに来てから知るようになりました。

 

そして、若き日のスティーブ•ジョブズが禅の教えに傾倒した時に愛読したいわばバイブルが、この鈴木氏の著作であることも。

 

先日ブックストアに行ったときに発見できたので、いま読んでいるのがこちらの本。

『Zen Mind,Beginner's Mind』、そのまま「禅の心、初心」という意味ですね。

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邦訳はアマゾンで買えます。

鈴木氏は日本の曹洞宗の僧侶ですが、半世紀以上前に、ここサンフランシスコに仏教の心を伝えに来た日本人の大先輩に、心からリスペクトです。

 

そしてその鈴木氏の招きでサンフランシスコに来たのが、ジョブズと直接交流のあった同じく曹洞宗の僧侶•乙川弘文氏。

乙川弘文 - Wikipedia

 

こちらもWikipediaからですが、乙川氏は1986年にはスティーブ・ジョブズNeXT社の宗教指導者に任命され、1991年にはスティーブ・ジョブズとローレン・パウエルの結婚式を司った、とあります。

 

宗教指導者、というよりは精神面での禅のメンターであり友人のような関係性だったのではないかと思いますが、ジョブズが禅の影響を強く受け、後のアップルの製品にもそのシンプルなメンタリティが色濃く反映されているのは周知の事実。

 

いまや全世界の人々に愛用されているアップルの製品誕生の背後にあったひとつの要因も、もとを辿れば鈴木氏と乙川氏の関係性、鈴木氏がジョブズに与えた影響、そして乙川氏とジョブズの関係性にあったことを思うと、不思議な感動があります。

 

まっすぐに自分の信念を生きたひとり一人の生き様と、その人々の1対1の関係性と深い心の交流の中から生まれた、世界企業、アップルのスピリット。

 

鈴木氏は晩年を死ぬまでカリフォルニアでの禅の普及に捧げ、また乙川氏も同じくカリフォルニアでの活動の後、スイスで5歳の少女を助けようとして溺死したとのこと。

 

そんな彼ら日本人の足跡が、ジョブズの心の中にもあり、そして彼が開いたスマート時代の中にも息づいているのかというふうに思えば、時代の意志の巡り合わせに言葉を失います。

 

そして、鈴木氏にはじまる禅の教えを今でもしっかりと守り伝え、豊かで平安な心を持って生きる道をつたえるべく、にこやかに来訪者と接するサンフランシスコ禅センターの人々。

 

日米の見えない深い絆を思いながら、先人たちの遺志を感じずにはいられない、サンフランシスコ禅センターとのご縁でした。

 

彼らの心を受け継いで、また次の時代への希望とビジョンをつむいでいけるようにと、襟を正された氣がします。

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